書籍『心の問題と家族の法律相談』

 近時出版された『心の問題と家族の法律相談 離婚・親権・面会交流・DV・モラハラ・虐待・ストーカー』(森公任弁護士、森元みのり弁護士。日本加除出版2017年)を入手しました。

 離婚についての専門書籍、心の問題についての専門書籍は、それぞれ多いですが、これをかけ合わせてクローズアップする書籍はそう多くはありません。

 そうした意味で、この書籍の目玉部分は、ページ数は少ないですが、第4章の「家族のトラブル 解決・対策の指針」です。また、第5章の「設例」も、近時の裁判所の判断傾向を踏まえた、男女、あるいは、離婚を求める側求められる側に偏らない解説がなされており、有用だと思いました。

 離婚と当事者の心の問題としては、パーソナリティ障害、依存症、気分障害が取り上げられており、それぞれの場合における争点への影響などが端的に解説されています。それぞれの心の状態が、配偶者等近しい人たちとの人間関係にどのような影響をもたらすのか、参考になります。

 離婚と子どもの心の問題に関しては、まず、離婚が子どもに及ぼす影響について、家裁月報の家庭裁判所調査官による調査結果を踏まえ、まとめています。発達段階、年齢ごとに、頻出する子どもの特徴や、両親の別居や紛争に対する反応がまとめられています。

 私としては、離婚やその前後も含むプロセスにより、子どもに多大なストレスがかかりがちであり、子どもの人格形成への影響が大きいことをよく踏まえていきたいと思いました。弁護士は、多くの場合、お話をおうかがいするのは、こちら側の当事者だけであり、相手方と直接に詳細まで話をする機会はあまりありませんし、子どもと話をすることもあまりありません。仕事の性質上、そうなるのは仕方がないことではありますが、子どもが幸福になる可能性を少しでも多く残し、少しでも増やせるように考えて取り組みたいところです。

 同書は、葛藤がある中での面会交流に際して注意すべきことや、当事者間の紛争性を高めないための考え方についても、端的にまとめています。弁護士の仕事で離婚に関係してる中で雑感としてよく思うことがいくつも含まれていますが、それらを適切・端的にまとめてくれている感じです。

 実親との面会交流は、基本的には実施することが子どものためであると私は思っていますが、子どもが板挟みになったり、条件闘争の繰り返しとなると、子どもにとって嫌な思い出・怖い思い出となるでしょうし、そこまではっきりした嫌悪感や恐怖心として残らなくても、おとなになっても心の奥に記憶や思いが残ることがあるのではと思っています。

 あまり関係のないかもしれない話ですが、私自身、けっこう小さい頃の出来事を覚えていて(また、物心ついたころに聞いた話も覚えていて)、家族と家族が対立していたときの嫌な思いや、保育園の先生に”めっ”と言われて睨まれたときの怖い思い、保育園の遊具から足を滑らせて遊具の間に挟まったときの状況や怖い思い(高所恐怖症のもと?)は覚えていたりします。